数年前
実家が火事になった時
すでに後方が熱で溶けかかっていた車に飛び乗り
安全な場所に移動させた父
路地が狭く
消防車が入って来れないから
父は慌てたのだ
ガソリンに引火したら
もっと悲惨なことになる
それをたまたま見ていた人が
勘違いをしたのか
父が自分で火をつけて逃げたという噂になり
そのデマに
保険金欲しさにという尾ひれがついた
父はそのまま隣のビルの屋上に上り
消防隊の人に
「うちはいいから2軒目 3軒目にかけてくれ」と叫んだ
火事は3軒焼いて鎮火したけれど
商店街の中での火事だから
立ち並ぶ他のお店には
多大なる迷惑をかけることとなった
火元は放火
未だに犯人は見つかっていない
親身になって助けてくださる人
傍観する人
野次馬
デマを流す人
いろいろあったけど
受け止めるものは受け止め
跳ね返すものは跳ね返し
見事に両親はその場所で店を再建 再開した
火事になったことが不幸なのではなくて
再建できた事が幸福なのだと実感しながら
何より家族が無事だった事と
さらに結束が強くなった事に
あらためて幸せを感じる